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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:01:22.77 ID:BGxaTdA80
女「……(すぱー)」
男「また煙草? 健康に悪いよ?」
女「キミが嫌だと言うならやめよう」
男「いや、俺の健康じゃなくてさ」
女「キミが気にしないのであれば問題ないだろう?」
男「まあ、そうだけど……」
女「それに、キミと居る間は煙草が手放せなくてね」
男「どういうことだよ」
女「煙草には鎮静作用があると言うことさ」
男「遠まわしに嫌いって言われた気がするんだが……」
女「はぁ……だから手放せないと言っているんだよ」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:07:29.75 ID:BGxaTdA80
男「そういえば、いつもなに吸っているの?」
女「ロングピース。ショートの方が旨いんだが、アレは短くてね」
男「タール21……死ぬぞ?」
女「私はどちらかと言えば、太く短く生きたい」
男「俺は幸せに長く生きたいな」
女「……私の場合、現状、片方は叶っているしな」
男「ん? なんか言ったか?」
女「身近な幸せは気が付かないと言ったんだよ」
男「?」
女「自分で考えたまえ」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:13:19.46 ID:BGxaTdA80
男「あれ? 暗くてよくみえない……」
女「ほら」(シュボッ
男「サンキュ。こういう時、喫煙者はライター持ってて便利だよな」
女「なに、煙草に火をつけるついでさ」
男「あっちょっ消すなよ……」
女「いや、こちらのほうがいい」
男「おっ蛍?」
女「風流だろう?」
男「明るさが足りません」
女「はぁ……無粋だねえ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:18:29.78 ID:BGxaTdA80
男「……凄い匂い」
女「嫌いか? なら、キミの前では控えるが」
男「いや、そこまで嫌いな匂いではない」
女「そうか。久しぶりのガラムなんだ。立ち寄った煙草屋で衝動買いしてしまった」
男「嬉しそうだな」
女「本当はこの煙草が一番好きだからね」
男「強烈な匂いが控える原因?」
女「その通り。部屋に匂いがこびり付いてしまう」
男「もう、壁紙がヤニでこびりついてしまってるのに……」
女「それに、キミが来た時鼻が利かないのはいやだ」
男「え?」
女「ははっなんでもないよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:22:50.57 ID:BGxaTdA80
男「珍しいライターだよな。それ」
女「あーマーベラスのことか。デザインと燃料の持ちがね」
男「ギア付いててかっこいいけど、ジッポーでも同じじゃないのか?」
女「スピリタスがオイル代わりなんだ。ZIPPOだと、蓋が大きすぎてアルコールが飛ぶ」
男「なんでそこまでしてアルコールを使いたがるのさ?」
女「オイル特有の匂いがない。それに」
男「それに?」
女「私は酒精に弱いから、匂いだけで酔える」
男「酔う必要がどこにある?」
女「例えるなら今だよ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:28:17.69 ID:BGxaTdA80
女「ピースは旨いなぁ」
男「そういえば、いつも部屋で吸ってるよな?」
女「風で過燃焼させると、煙草は不味くなるんだ」
男「へー」
女「特にキツい煙草は辛さが目立つ。ピースのほのかな甘さは、外で吸うと隠れてしまう」
男「俺はその煙草の匂い嫌いじゃないから、どこで吸っても別にいいけどね」
女「でも、外で吸うのは嫌いじゃない。風流を眺めながら吸う煙草は、別の旨さがあるんだよ」
男「じゃあ、何で吸わないんだよ」
女「ここに最高の眺めがあるからさ」
男「?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:34:05.99 ID:BGxaTdA80
男「珍しい……外で吸ってる」
女「ん、ああ、君に言われたからね」
男「さいですか」
女「一応、クールスモーキングは心がけているぞ?」
男「しかし、凄い匂い」
女「ガラムは外で吸うなら解禁されるからね」
男「……だからって、缶を持ち歩きますか?」
女「ボックスが国内販売停止してしまったんだよ」
男「へー」
女「缶もいい匂いが染み付いているぞ?」
男「嗅ぐのは遠慮しておきます」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:38:49.34 ID:BGxaTdA80
女「……ふぅー」
男「あまったるっ!」
女「ああ、すまない。ブラックデビルに浮気していたんだ」
男「黒い煙草って、毒々しいな」
女「私としてはいい演出だと思うけどね」
男「甘い煙草好きだよな」
女「現実が辛いからな。煙草くらい甘くさせてくれたまえ」
男「例えばどんな?」
女「今はとても幸せだが、ある意味で辛いね」
男「?」
女「ほぉら、辛い」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:46:19.71 ID:BGxaTdA80
男「花火買ってきたぜ?」
女「うむ、夏らしくていいな」
男「前もって言っておくが、打ち上げを人にぶつけるの禁止な」
女「小さい頃は良くやったな? ロケット花火やねずみ花火で」
男「あれ凄く痛いんだぞ? 服燃えるし」
女「女である利点は、狙われることがないことだ」
男「一方的なジェノサイドですか……」
………
男「煙草の煙なのか花火の煙なのかわからん」
女「どっちでもキミは一緒だろう?」
男「お前は違うんじゃないのか? 匂いとか気にするんだろう?」
女「懐かしい火薬の匂いも、また乙なものだよ」
男「へぇ……まあ、懐かしくはあるな」
女「それも風流の一つさ」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:50:10.22 ID:BGxaTdA80
>>14
後日談
女「げほっげほっ……煙が…」
男「いわんこっちゃない」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 05:58:47.57 ID:BGxaTdA80
男「なんか上機嫌だな」
女「ん? わかるか?」
男「珍しい煙草でも見つけた?」
女「コイーバのエスプレンディードスが手に入ってね?」
男「なにそれ?」
女「葉巻だよ。最高級の。一度吸ってみたかったんだ」
男「おいくらで?」
女「4000円。値段改定前の物をいくつか手に入れた」
男「そんなに金あったら他にいくらでも使い道が……」
女「ヒョードルに入れて、長く熟成させよう」
男「聞いてないし」
女「葉巻は吸い方で味が変わるんだよ。焦ってはいけないんだ、甘さがなくなる」
男「へー」
女「まあ、現状は少々急ぎ足が必要だと思うがね」
男「?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 06:06:36.67 ID:BGxaTdA80
女「……はぁー、旨い」
男「さっそく吸ってるじゃないか。熟成させるんじゃなかったのか?」
女「一緒に買ったパンチカッターの試しも兼ねてね。はさみだったからな。これはいい」
男「熟成させるんじゃなかったのか?」
女「一本くらい味見もいいじゃないか、最高に旨いぞコレ。ウィスキーが飲みたくなる」
男「意外と我慢出来ない性質だったりする?」
女「なにをいうか。我慢はこの上なく得意だ」
男「例えば?」
女「はぁ……それを言ったらおしまいなんだよ」
男「たまにお前の言って居ることがわからなくなる」
女「だからキミは鈍感だと言われるんだ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 06:18:00.71 ID:BGxaTdA80
女「……ほっ」
男「わっか上手いね」
女「なかなかコツがいる。結構練習したんだ」
男「へぇ……」
女「ほら、こんなに大きいものも作れる」
男「おお」
女「肺に入れると出来なくなるのが悔しいところだ」
男「ふかしなしで、そんなにキツい煙草吸ってるの?」
女「ヤニクラの酩酊感が好きなんだ」
男「ヤニクラ起こすほど弱くもないくせに」
女「それもそうだが、現在酩酊感を感じているから問題ない」
男「なんのことだ?」
女「キミの知らないことだよ」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 06:49:40.91 ID:BGxaTdA80
男「朝から煙草ですか」
女「目覚めの一服だよ。寝起きほど吸いたい瞬間はない」
男「朝でも元気だな」
女「朝食をきちんと取れば、誰でも元気さ」
男「ちなみに今朝の朝食はどのようなもので?」
女「ベーコンエッグと焼いたトーストにたっぷりのブルーベリージャム。それからピース」
男「煙草は食べちゃいけません」
女「食後は最高に煙草が旨い瞬間だよ」
男「さいですか」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 06:54:09.61 ID:BGxaTdA80
女「おや? どうしたんだい? しょぼくれて」
男「いやちょっとな……」
女「おやおや、失恋かい?」
男「似たようなもんだ」
女「………」ピク
男「はぁ……完璧に振られた。可愛かったのに」
女「……(私には、可愛げは……ないな」
男「あーあ、あのくりくりした眼が好きなのになぁ」
女「……(今押せば、もしかしたら男は……いやそんな弱みに付け込むなど」
男「ああ、可愛かったなぁ。さっきのミケ猫」
女「………ブチン」
男「え? ちょっゲホゲホッ。煙吹きかけるな! おい!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:00:45.11 ID:BGxaTdA80
女「おじゃまします」
男「ウチに来るの初めてだっけ?」
女「家の前はよくきたが、あがるのは初めてだよ」
男「そうか。まあ、適当にくつろいでて。メシ作ってくる」
女「ああ、頼んだ」
………
女「ご馳走様でした」
男「どういたしまして」
女「ふむ。おいしかったぞ。また頼む」
男「それは重畳。ん? 食後が旨いんじゃなかったのか? 吸わないの?」
女「流石に禁煙者の家では吸わないよ。部屋に匂いが残ってしまうからね」
男「……なあ、今夜は満月だよな?」
女「ああ、確かに望月だったな」
男「じゃあ、屋根の上で吸おうか」
女「……キミにしては珍しく気が利いている」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:10:05.01 ID:BGxaTdA80
男「歩き煙草はよくないよ」
女「いいじゃないか。ここは誰も通らないし、携帯灰皿も持っている」
男「まったく……」
女「む、ヒマワリか」
男「あ、ホントだ」
女「蝉の声とヒマワリと積乱雲。いいね。夏らしい。特にヒマワリが」
男「いっぱいあるな。ヒマワリ畑か……」
女「ふむ。ヒマワリと言えば……」
男「油?」
女「はぁ、風流がないなキミは」
男「悪かったね」
女「そういえば、歩き煙草は良くないんだったな」
男「え?」
女「そこの木陰で休んでいこうか」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:14:15.83 ID:BGxaTdA80
男「そこの灰皿。いつもいっぱいだな」
女「そうかい? 定期的に捨ててはいるよ?」
男「いつもサボテンにするには、どんだけ吸わなきゃいけないのかね?」
女「さあな? 私は一日二箱と決めているけれどね」
男「そんなに吸うのか」
女「なに、ピースしか数えていないよ」
男「褒めてるわけじゃねえよ」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:23:55.29 ID:BGxaTdA80
女「ピースうまいなぁ」
男「好きだよな。その煙草」
女「ああ、JTの名作だよ。初代ショートピースは46から続くベストセラーだ」
男「第二次世界大戦直後? 随分長いな」
女「戦争終結を記念する平和の煙草さ」
男「強すぎて体内の平和は程遠いけどな」
女「古い煙草がいいぞ。老人と仲良くなる」
男「ほう」
女「このまえも、駅で吸っていたら同じピースを吸っている爺さんと意気投合した」
男「……爺さん。歳とっても随分ハッスルだな」
女「なにがだ?」
男「人のこと朴念仁って呼ぶわりに、お前も大概だってことだよ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:32:43.65 ID:BGxaTdA80
男「なあ、どうやったらお前は煙草を止めると思う? 法律で禁止されたりとか」
女「日本で禁止されようと海外に高飛びして吸う」
男「世界で禁止されたら?」
女「逮捕覚悟で自力で栽培してやるな」
男「じゃあ、煙草の値段が上がったら?」
女「一本一万までなら払おう、それ以上は海外に逃げる」
男「どうあがいてもやめないのか」
女「そうだな。唯一の機会を失った」
男「?」
女「とある朴念仁が嫌いなら、きっと止めていたさ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:46:46.27 ID:BGxaTdA80
男「煙草ってさ。どんな味なの?」
女「ふむ、吸ってみるか? 説明できる気がしない」
男「お前が人に勧めるとは、一本たりともあげないくらいのジャンキーだと思ったのに」
女「流石にそれはないよ。煙草好きが増えてくれるのは嬉しいからな」
男「趣味友達みたいなものか」
女「そういうものだ。……ふむ、まあコレをやろう」
男「どうやって吸うんだ?」
女「初めてならふかしがいい。肺に入れないように。火をつける時は軽く吸って」
男「………ゲホッゲホッゲホッ」
女「やはり、ピースは強すぎたか」
男「ずっと、お前の隣にいたから多少は強くなってると思ったのに……」
女「そんなことあるものか。さて、キミの吸いかけは私が処理しよう」
男「そんなに煙草好きか?」
女「煙草より、もっと好きなものもあるがな」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 07:56:35.13 ID:BGxaTdA80
男「上機嫌だな。ガラムだったけ、この匂い」
女「ああ、いい香りだろう?」
男「まあ、甘ったるいけど、いい香りではある」
女「匂いだけじゃなく味も甘い。いや甘いだけではなく複雑な苦さや刺激も含んでいるけれどね」
男「煙だけなのに、味とかあるんだな」
女「勿論あるさ。ガラムの場合は、フィルターにシロップが付いているけれどね」
男「匂いと相まって凄く甘そうだ」
女「だから、唇にシロップが付いていて、キスすると甘いそうだよ?」
男「へぇ」
女「試してみるかい?」
男「なっなななっ」
女「冗談だ。私もこれ以上甘いと流石に応える」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 08:10:54.35 ID:BGxaTdA80
女「ふう、やっと吸える」
男「マナーは守るんだな。いつも携帯灰皿もってるし」
女「守らないのは屑だろう? そういう奴らがいるから喫煙者の肩身が狭くなるんだ」
男「他に人が居る時にガラム吸わないのも?」
女「ガラムはもっと肩身の狭い煙草なんだ」
男「あの匂いじゃな」
女「あの匂いとパチパチがいいというのにな。誰もわかってくれない」
男「しかし、お前だけ凄い煙の量」
女「煙の量はタールに比例するんだよ」
男「倍くらい煙吐いてない?」
女「人の倍くらいため息を吐かされているからな。必要なニコチンも増える」
男「?」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 08:36:53.75 ID:BGxaTdA80
男「パイプとは、また古典的なものを」
女「コレ難しいんだぞ? 腕が良ければ凄く美味いが」
男「コツとかあんの?」
女「呼吸するように、というか呼吸と共に吹かすんだ。うっすらと煙を立てるように」
男「へえ」
女「ほかにも色々とコツがあるが、クールスモーキングの基本は変わらない」
男「浅く、なるべく燃焼させないようにか」
女「それとドライだな。当たり前だが、唾液を可能な限りパイプに入れないように」
男「あーそれは吸わない人間には思い付かなかったわ」
女「満遍なく火をつけ、ダンパーを上手く使い消えかけを上手く維持するんだ」
男「専門用語がわからん」
女「おっと済まないね。まあ、吸わないなら必要ない知識さ」
男「まあ、お前と話しているのは好きだし、煙草の話は特に生き生きしててもっと好きだぜ?」
女「ふむ。じゃあ、もう少ししようか」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 08:46:23.95 ID:BGxaTdA80
女「電車には女性専用車両じゃなくて、喫煙車両が欲しい」(クチャクチャ
男「凄く煙たそうだなそれ」
女「冷房も暖房もなくていいから、窓を全開にしておけばいい」(クチャクチャ
男「はいはい、莫迦で実現不可能な妄想やめましょう。ガム頂戴」
女「無理だ」(クチャクチャ
男「なんでさ」
女「これはガムはガムでも。ニコレット」(クチャクチャ
男「ついに禁煙!?」
女「いや、ただのニコチン補給」(クチャクチャ
男「…………」
女「なかなか、いけるぞコレ」(クチャクチャ
男「凄く使い方を誤っている気がする」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 08:51:34.39 ID:BGxaTdA80
>>57
後日談
女「というか、お前禁煙して欲しいのか?」
男「まあね」
女「ほう、煙草の煙は嫌いじゃないといっていたが、我慢していたのか。言えばいいのに」
男「いや、嫌いじゃないよ。結構好き」
女「じゃあ、なんでだ?」
男「いや、長生きして欲しいじゃない」
女「………」
男「いい友達は長く一緒に居てもらいたいし」
女「絶対止めるもんか」
男「ええ!?」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 09:00:05.14 ID:BGxaTdA80
男「7」
女「何の数字だ?」
男「すぐにわかるだろ?」
女「……?」
男「おまえさー」
女「ああ」
男「表情に出にくいけどさー」
女「ああ」
男「凄くわかり易いよなー。はい八連鎖」
女「また負けたか。ぷよぷよ強いなお前。で、さっきの数字は連鎖の数か?」
男「いや、煙草の本数。イライラするとすぐ増える。ホントわかり易いぞ?」
女「そのようだな。だが、お前はそれを上回るハイレベルな鈍感であると教えておこう」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 09:12:41.91 ID:BGxaTdA80
女「よくきたな。まあ、座れ。もう食事はできている」
男「お、豪華だ。料理上手いな畜生」
女「女が料理できて何が悪いというのかね?」
男「いや、負けてられないなぁって」
………
男「ご馳走様。味も凄く良かったよ」
女「お粗末様。私だって家事くらいできるさ。ほら」
男「ん、ブランデー?」
女「ラガブーリン。モルトの王様と呼ばれる酒さ。貴重だから分けてやろう」
男「で、葉巻か」
女「そろそろ熟成もいい頃合だからね? コイーバを味合わせてもらうよ」
男「好きだねー。そういうの」
女「それにな。葉巻は吸っている隣に座った人間が一番楽しめると言いうくらいなんだ。香りもおすそ分けしてあげよう」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 09:27:10.96 ID:BGxaTdA80
男「煙たいな。部屋に霞が掛かったみたいだ」
女「扇風機をつけよう」
男「そうしてくれ。さらに言うなら暑い」
女「ふむ、それはすまなかったね。あ……」
男「あーあ、灰皿いっぱいにしてるから舞っちゃうんだよ」
女「はあ、だから扇風機は嫌いなんだ。煙草が風にあおられてクールスモーキングも出来なくなる」
男「文明の利器全否定か。頼むからクーラーつけようなんて言い出すなよ?」
女「いやクーラーもだめだ」
男「流石にそこまで煙たいのは、お前でも嫌か」
女「アレだって風が出る」
男「お前本当に煙草第一主義だな」
女「いや、それは違うな」
男「どこがだよ」
女「説明できないな。強いて言うなら、苦労主義に近いかもしれん」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 09:33:47.81 ID:BGxaTdA80
男「今日はキセルか」
女「ああ、小粋を買うのが面倒だから両切りピース切って詰めてる」 *小粋、唯一のキセル用の刻み煙草の銘柄
男「それはいいのか?」
女「褒められたものではないね。継ぎ足しできないし」
男「継ぎ足し?」
女「火が残ってる間に手のひらに乗せて煙草を足すんだよ」
男「へぇ」
女「熱いし私は苦手なんだ。ふむ」カンッ
男「お、カッコイイ」
女「そうか? キセルは二口三口で足さなきゃいけないから面倒だと思ったが、なかなか捨てたもんじゃないね」
男「ほう、やっぱ美味いの?」
女「ああ、それにいいこともあった」
男「へぇ」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 09:43:31.11 ID:BGxaTdA80
女「……ふぅー」
男「煙草吸ってる人ってさぁ。少し上向くよね?」
女「ああ、下の方を見ると煙が眼に染みるんだ」
男「ああ、口に入れないとやっぱり痛いんだ」
女「煙が眼に入って染みたことはあっても、口に入って染みることはないだろう?」
男「なるほど……」
女「ん? どうした?」
男「いやなんでもない……ただ、上向くとちょっと胸が大きく見えるなぁってだけです。すいません」
女「はぁ……どうやら腕に根性焼きの跡が欲しいようだね? 協力しよう」
男「ちょまっ……胸が小さいなんて口に出してないじゃうわやめっ」
女「今口に出しただろう!」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 09:58:05.36 ID:BGxaTdA80
男「煙草を吸っていて楽しいことはなんですか?」
女「煙草自体が楽しいのはダメか」
男「それ以外で」
女「ふむ……景色が良く見える」
男「意外な答えだな。なんで?」
女「やることがない時に煙草を吸うだろう? 待ち時間とか」
男「ああ」
女「そういう時に煙草は視覚的な作業がないからな。周りをどうしても見渡してしまうんだ」
男「なるほど」
女「ああ、もう一つあったな」
男「なにさ」
女「同じようなことだよ。だが、言えないことだ」
男「なんかヒント」
女「だから、同じようなことさ。煙草だけに神経を裂く訳じゃあないから、視野が広がる。それの恩恵だよ。例えば今とかね?」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 10:05:08.51 ID:BGxaTdA80
女「渓流釣りもなかなかいいな」
男「釣りってのは楽しいもんだろう?」
女「ああ、だが、キミは待ち時間は暇じゃないのか?」
男「ん? どうして?」
女「私は待つ間煙草を吸えばいいが、キミはそうはいかない」
男「いやいや、待つのが楽しいんだよ」
女「そういうものか」
男「そういうもの。ほら、森のざわめきとか川のせせらぎを楽しみながらね」
女「確かに風情があるな。キミに風流がわかるとは思わなかったよ」
男「失敬な。それにな。もう一つ楽しみがあるんだ」
女「獲物を待つ楽しみか?」
男「いーや違うぜ?」
たまには逆パターン
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 10:11:48.24 ID:BGxaTdA80
「こちらは防災VIPです。ただいま南VIP駅付近で火災が発生しました。近くの――」
女「む? 火事か」
男「そうみたいだな。南VIP駅って結構近いぞ?」
女「ああ、そうらしい。煙とかは見えないがな」
男「いや、煙は見えているよ。お前の煙草の」
女「扇風機回そうか?」
男「ああ、大丈夫大丈夫。けど、お前も気を付けろよ? 寝煙草とかするなよ?」
女「絶対にしないさ」
男「やけに素直だな?」
女「無駄な心配は掛けたくないからね」
男「律儀なことで」
女「それに、今死んだらきっと未練で化けて出る」
男「そんなに煙草が好きか?」
女「キミ、殴るぞ?」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 10:29:10.06 ID:BGxaTdA80
男「ん? いつもと吸ってる煙草違う」
女「今日は両切りピース。たまには強いのが欲しくなる」
男「いつも強いくせに」
女「ははっそう言うな。しかし、この紫煙。見事だ」
男「おお、本当に紫に見えるな」
女「この色に酔うのもまた一興」
男「吐き出す煙の量も凄いな」
女「これがいいんだよ。ショットガン買ってショートピースに鞍替えしようか」
男「また寿命が縮むな」
女「ああ、まったく。どこぞの鈍感な人間のせいなのだがね」
男「ふーん……」
女「また増えそうだよ」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 10:38:53.42 ID:BGxaTdA80
男「その煙草初めて見た」
女「うるまと言ってね? 沖縄煙草だよ、知人の土産に貰ったんだ」
男「沖縄煙草なんてあるんだ」
女「アメリカ占領時代の沖縄は、民営でね? その時代にできた煙草だ」
男「なるほど」
女「実は初めて吸うんだ。………なんかウーロン茶の香りがする」
男「いろんな意味で珍しい煙草だな」
女「………賞味期限、去年だ」
男「その香り、発酵してるだけじゃねえか」
女「あとで知人は根性焼きだな」
実話
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 10:47:52.70 ID:BGxaTdA80
男「なにやってんだ?」
女「掃除。いつもやらない場所を徹底的にな」
男「家事は得意なんじゃなかったのか?」
女「ああ、だが普段はここまで徹底的にしない」
男「普段頑張れといいたいが、俺の言えた義理じゃないな」
女「バケツ取ってくれ」
男「……水が茶色いんだけど、どうしてだと思う?」
女「普通は黒くなるな」
男「吸いすぎだよお前」
女「その茶色はどこぞの誰かのせいだから私だけが責められるのは、ひどく不満だ」
男「人のせいにするな」
女「誰のせいだと思っている?」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 10:51:10.89 ID:BGxaTdA80
>>79
後日談
友「悪かった悪かった悪かったっ! 気が付かなかったのマジで!」
女「問答無用」
友「うわっちょアツッ……くない」
女「こっちは吸い口だ。次はないぞ?」
友「はい、肝に銘じます」
女「わかればいい」
友「ところで、男がさー」
女「……」ピク
友「わかり易いな。お前」
女「次はないと言ったはずなんだがな」
友「うあああああああぁあぁぁぁ!」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 11:05:00.78 ID:BGxaTdA80
女「仕事の後の一服は美味いな」
男「掃除お疲れ様」
女「キミこそ、何も言わず手伝ってくれたじゃないか? 礼を言うよ」
男「バケツの水で手が荒れるのも可哀想だろう?」
女「カッコいいこといってくれるな。さて、次の掃除だ」
男「なんか残ってた? もう掃除する場所ないと思うけど」
女「喫煙具の手入れさ。毎日やっている」
男「……お前はその情熱を他に注げばいいのに」
女「なに、注いではいるが結果がついてこなくてね」
男「なに? 美容?」
女「新月の夜は背後に注意するといい」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 11:14:48.68 ID:BGxaTdA80
男「また珍しい煙草吸ってるな? それ葉巻?」
女「シガリロ。紙巻きサイズの葉巻だよ。今吸っているアルカポネポケットはいい。ほどよいスパイスが効いている」
男「甘いのが好きなんじゃないのか?」
女「煙草本来の甘さが好きなんだよ」
男「ガラムは?」
女「アレは別格というものだ」
男「なら、マッチョとか吸えばいいのに」
女「パチパチ言わないクレテックは、クレテックなどと認めない」
男「妙なこだわりだな」
女「キミの大事な人を思い浮かべたまえ。その人の特徴が一つないだけで嫌なものだろう?」
男「……確かに、煙草がないのは」
女「ん?」
男「なんでもねーよ」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 12:06:44.30 ID:BGxaTdA80
男「飲食店では吸わないのな」
女「ああ、私の煙草は周囲に迷惑が掛かる」
男「自覚あるのか」
女「重くて白煙豊かな煙草が好物だからね。マナーは守るつもりだよ」
男「体に悪くて周りに迷惑の掛かる煙草と読み変えることもできる」
女「だから人の多い場所は避けているんだろう?」
男「そして甘い煙草ねぇ」
女「何か不満があるのかい?」
男「頼む食品が、オムライスの理由をなんとなく察した」
女「私には激辛カレーを頼む神経がわからない」
男「美味しいのに……なぜわからない」
女「キミのあらゆる感覚神経がニブチンだからだろう?」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 12:26:16.65 ID:BGxaTdA80
男「なに悩んでるの?」
女「……ピース・アコースティックが偶然見つかった」
男「廃版になったって嘆いていた煙草か」
女「賞味期限、先月だ……まだ、美味いか?」
男「うるま、ウーロン茶風味を思いだせ」
女「だが、唯一の無香料ピース。煙草の味だけというのは、凄く好きなんだ」
男「止めとけ。という声が届く以前に、咥えてライター手に持ってるじゃないか」
女「ふー。保存状態が良かったな。美味い」
男「さいですか」
女「咥えたときウーロン茶だったらどうしようか凄く心配だった」
男「しかし、愛煙家が居ても廃止されるんだな」
女「そういうものだ。凛という地域限定の煙草も、美味いと聞いて吸いたかったと言うのにな」
男「早く行動しろってことだろ?」