501-600

534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 15:52:01.83 ID:hbbBBB4N0
女「おい」

男「ん」

女「ばーん」カチッ

男「うわっ!」

女「驚くなライターだ」

男「モデルガンか何かかと思った。漫画でよくあるあれか」

女「ああ、押入れの奥で眠っていた。」

男「ちょっと持たせてよ」

女「ふむ、いいぞ」

男「何キロあんのこれ」

女「せいぜい3キロ弱だ。実銃よりも大きいから重くて扱いづらく、20センチ近くの長さが邪魔で仕方ない」

男「もったいない、飾って置けばいいのに」

女「そうだな。物を大切にしない人間に愛されるのも辛かろう」

男「お前は本当に煙草を愛しているねえ」

女「違うよ、コレで叩きのめすぞ」

541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 16:07:08.30 ID:hbbBBB4N0
男「なにこの世の終わりみたいな顔しているんだ」

女「いや割とお前の前ではこの顔になっているつもりだが」

男「初めて見たよ。何かあった?」

女「ああ、近所の煙草屋の亭主が亡くなった。とても……いい人だった」

男「まるで恋焦がれる少女だな」

女「現在進行形で私は恋をしているぞ」

男「え? 亡くなった煙草屋の亭主に?」

女「いつから私は親父趣味になった」

男「冗談だって、ずっと前からわかってるよ」

女「ほう……」

男「煙草だろ?」

女「………はぁ」

男「なんだよその反応。正解?」

女「その顔面を灰皿にしたい。きっと神経が鈍すぎて熱さ感じないだろうから」

550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 16:34:22.96 ID:hbbBBB4N0
男「あれ? ダーツ?」

女「押入れを整理したらラキストが出てきたんだ」

男「なるほど、無性にやりたくなったわけか」

女「ブルズアイが出たら吸おうと思ったんだが、腕が悪くて上手くいかない」

男「ふーん。やらせてよ」

女「ん、ああ」

男「ほっ。お!」

女「……ブルズアイ」

男「大当たり、いたいいたいいたい。当たるな!」

女「もう一回」

男「お前凄い負けず嫌いだよな」

女「ああ、自分から言い出したら負けだと思っている」

男「なにがだよ」

551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 16:36:25.21 ID:hbbBBB4N0
>>550
後日談

女「……すぱー」

男「結局吸ってるじゃないかお前」

女「妥協も必要だといまさらながらに気づかされた。というより、このままでは禁煙しかねない」

男「根性無し」

女「今痛感しているところだ」

557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 16:56:30.45 ID:hbbBBB4N0
男「このまえ、凄く久しぶりに踊る大捜査線をみた」

女「ちょうどいいな。アメスピ買ってきた」

男「織田裕二が吸ってた煙草か」

女「ああ、そこまで好きな煙草でもないんだがな。なんというか、薄い。辛みがない素朴な甘さはいい」

男「ヘビースモーカーに向かないわけか」

女「そういうわけでもないんだが、初心者に薦めたいな。無添加だから火の着きが悪くて燃焼が遅いんだ」

男「それがなんで初心者に向くんだ?」

女「煙草はクールに、つまり、ゆっくりと味わいながら吸えば旨くなる。それを学ぶのにちょうどいい」

男「なるほど」

女「それに煙草本来の味だからな、他の煙草がどういった香り付けされているかよくわかる」

男「……飲み物だそうか?」

女「お、よくわかったな。ちょうど飲み物が欲しかったんだ」

男「その煙草、燃焼が遅いっていうか、吸ってる時間が長い。喉も渇くだろう?」

女「ご明察、痛み入るよ。コーヒーがいいな」

男「了解。インスタントでいいな」

562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 17:24:26.54 ID:hbbBBB4N0
男「部屋を掃除するとよく思うんだけどさ。どう考えてもいらないのに、捨てられないものってあるよな?」

女「ある。部屋の一角を占拠されている」

男「ああ、あれね」

女「ああ、煙草の缶とは、なぜ捨てがたいんだろうな」

男「愛着とかじゃないのか?」

女「とりあえず、ガラムの積み上げた缶を崩すなよ? 後が面倒だ」

男「早く捨てろよ」

女「そういつも思うんだけどな」

男「俺が言いたいのは、完全に無価値なものじゃなくて、いつか使いそうとかそういうものなんだけどな」

女「ああ、捨てられないものがもう一つあったな」

男「なんだよ?」

女「無意味なプライド」

575 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 17:56:42.58 ID:hbbBBB4N0
男「またガラム吸ってる。あ、いつもより細いね」

女「なぜかガラムは太さで強さを調整するんだ」

男「へー、じゃあいつものより弱いんだ」

女「ああ、普段吸わないんだが、興味本位で買った知人が吸えないと言っているので貰った」

男「吸えないって……確かにあの匂いは好みが分かれるだろうけど」

女「よくあることだ。癖が強すぎる上に他の煙草とは味の根本が違うからな」

男「あの強烈な匂いはいつまでも残るしね」

女「ああ、この前などファミレスで吸っているバカがいた。店員に注意されていた。当たり前だがな」

男「そういえば、一昔前はサーファー御用達の煙草だったとか」

女「そうらしいな。別に私は波乗りをするわけじゃないが……海で吸いたくなるのはわかる気がする」

男「今度行く?」

女「その前に水着を買わなければな。明日にでも付き合ってくれ」

男「女物の水着のコーナーで一緒に選ぶって、流石に恥ずかしいなそれ」

女「意外だな。キミはおかしいくらいに神経は鈍いと思ったんだがね」

578 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 18:02:31.59 ID:hbbBBB4N0
>>575
後日談・試着中

男「………」

カチャカチャ

男「………」

スルスル

男「………」

女「おい、着替え終わったぞ? あれ居ない。逃げたかあいつ」

 

男「無理無理無理、エロい想像するなって方が無理」

584 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 18:27:07.87 ID:hbbBBB4N0
男「いい物を持ってきた」

女「随分とデカイ荷物だな」

男「空気清浄機。これで多少は改善するだろ?」

女「おお、それはありがたい」

男「部屋を締めっきりにしても大丈夫とはいえないけど、吸った直後とかすぐ窓閉めても大丈夫」

女「確かにこの暑さは耐えがたいな。礼を言うよ」

男「それに薄着でうろちょろされると目の付け所に困る。お前、汗かくし」

女「……ふむ」

男「まあ、今の煙草吸い終わったらな」

女「ああ、そうだな」

男「って言いながら、もう一本着けるなよ」

女「今はとてもチェーンスモークしたい気分なんだ」

586 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 18:30:38.11 ID:hbbBBB4N0
>>584
後日談

男「今度は葉巻か」

女「うむ、一時間は持つぞ。ああ、それにしても暑いね」

男「胸元パタパタしない!」

女「ははっ今とても気分がいいよ」

595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:05:22.01 ID:hbbBBB4N0
男「うわ、ごっゴキブリ!」

女「落ち着け、アレは玉虫だ。どこから入ってきたんだ?」

男「ああ、ホントだ。大きさ的に同じくらいだから驚いた」

女「キミは本当に苦手だね? しかし、きれいな虫だ」

男「たしか、京都に玉虫の翅でできたお堂があったような。うおっ飛んだ!」

女「いちいち騒ぐな。ああ、こっちに飛ばないようにしておいてくれ」

男「お前も虫苦手なのか?」

女「いや、昆虫には人間が吸う煙草のニコチンは強すぎる。弱らせてしまうのは可哀想だ」

男「お前の慈愛とは、珍しいな。その慈愛を俺にも向けてくれよ」

女「これ以上どうしろと言うんだい?」

600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:27:28.24 ID:hbbBBB4N0
女「ああ、缶ピースを開けた時の匂いはいい」

男「煙草を吸わなくても、煙草の匂いが好きっていう人は結構居ると思うんだ」

女「煙草にはね、自然界に存在する内の大多数の香り成分が含まれているんだよ」

男「だから煙草の香りは人を魅了するのか」

女「だが、有害な物質も多い」

男「そりゃな。じゃなきゃ禁煙なんて風潮は生まれないだろ」

女「綺麗な薔薇には棘があると言うだろう? そういったものだよ」

男「なるほどね、どこかの誰かさんみたいだ」

女「ほう、惚れた女で面倒なことにでも逢ったのかい?」

男「ああ、現在進行形だ」

女「……ほう」

 

inserted by FC2 system