ID:SPrpjZft0氏

380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:07:14.39 ID:SPrpjZft0
女「まぁ、『美味い』と一口に言っても、個々人で大差があるし、自分の好みを押し付けるのは良くない」

男「ん〜、……つまり?」

女「そこにいて、それを認めて、楽しむことが『うまい』ってことだ」

男「なんか、哲学的だな」

女「最初のふかし、一口目と二口目の転換、中盤での持続時間、終盤での味が落ちることへの寂寥感と『もののあわれ』」

男「語るな〜」

女「まぁ、好きなだけだ。お前と喋るのもな」

男「喋るのが好きなら、他の人とも一緒に話せばいいのに」

女「……。時には、火遊びも面白いものだ。もちろん、文字通りのほうな」

男「もうそろそろ、花火の季節だねぇ」

女「ああ」

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:28:27.80 ID:SPrpjZft0
男「あれ?また違うの吸ってる?」

女「まぁ、たまには、な」

男「偶にじゃないんじゃないの?」

女「ふふ。それでもやはり、好きなものが一番と気付かされてしまうのさ」

男「……俺も喫煙できれば、それがわかるのかなぁ」

女「してもいいが、私は浮気は許さんからな?」

男「??」

女「ふぅ〜……」

396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:45:34.47 ID:SPrpjZft0
男「す、少しくらい、いいじゃんか」

女「や、やめとけ。……そんなの後悔するに決まってる」

男「ちょっと、味見だよ」

女「だから、や、やめ!ご、強引に奪うな!」

男「ん〜〜……」

男「エホッ、ゲホゴホッ」

女「ほら、言っただろう。いきなりそんな強いもの」

男「……やっぱ、匂いを嗅ぐのと吸うのじゃ違うな」

女「当たり前だ。それより、早く返せ。中盤のいいところが無くなってしまう」

男「やっぱ、美味そうだよな。なんでだろ?」

女「今が、一番いいところだったからさ」

406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:06:48.11 ID:SPrpjZft0
>>401
それを妄想するのも楽しいジャンル

女「ん〜、……やはり、上手くいかないか」

男「どしたの?」

女「手巻きで、紙タバコを作ってみたんだが、なかなか自分好みの味にならなくてな」

男「独自ブレンド?」

女「ああ。……やはり、あるがままがいいのだろうな。私にとっては」

560 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 17:09:18.71 ID:SPrpjZft0
女「ふぅ〜……、空が青い」

男「煙でよく見えないのですが」

女「この空気と心の目で感じ取れれば、それで十分じゃないか」

男「夕方から雨降るってよ」

女「……私のテンションを奪いに来たのか?」

男「いやぁ、毎回料理作ってもらうの悪いし、煮物持ってきた」

女「……手作りか?」

男「美味しく出来たよ?」

女「不思議なヤツだな、君は。……わかった、先に家に入っててくれ。ほら」

男「わっと!……もう吸い終わりだろ?一緒に入るよ」

女「いや、たまには煙のない空も見たいからな」

男「そう?……わかった」

女「……まったく、そういうところで気が利かないな君は」

564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 17:26:55.65 ID:SPrpjZft0
男「もしさ、煙草が嫌いになって生まれてきたらどうした?」

女「……考えた事もないな」

男「いや、たまにはあるじゃん。もし、俺が女に生まれてきたら〜とか」

女「ふむ」

男「……」

女「……」

男「……」

女「とりあえず、押し倒すかな」

男「ホワッツ!?」

570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 17:39:34.85 ID:SPrpjZft0
男「仕切りなおして、それで?」

女「まぁ、ありえないだろう。そんな私は」

男「いや、ありえないことを妄想するのが目的なんですけど」

女「間違いなくそれは、私ではないからな」

男「うーむ……、煙草がなければ、アイデンティティがクライシス?」

女「いや、そうでなければ、今の私がないだけだ」

574 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 17:55:25.66 ID:SPrpjZft0
女「懐かしいな」

男「……小学校のときの文集?『わたしのおじいちゃん』」

女「私は大抵なお祖父ちゃん子でね。夏休み冬休みぐらいにしか会えなかったが」

男「ふ〜ん、おじいちゃんも吸ってたの?」

女「私の煙草好きの原点だ」

男「やはり、遺伝か」

女「無口だったのと優しかったのは覚えてるんだが、あまり思い出がなくてね。だが、その匂いだけは繋がってるんだ」

男「いいお祖父ちゃんだったんだね」

女「どっかかしら、君に似ているのかもな」

男「俺、吸わないんだけど?」

女「だからさ」

587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 18:30:43.45 ID:SPrpjZft0
男「うっわ、降ってきた」

女「……」

男「蒸し暑ぢぃ……テンション下がるぅ……」

女「……」

男「あれ、家に洗濯物干してたっけか?あれ?ええっと、やばい?」

女「……」

男「……どったの?」

女「水煙のなか、二人の温度差を感じていた。やはり、水と煙は交われんと言う事だな」

男「??」

女「私は水泳が苦手だと言う事だ」

606 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:41:38.99 ID:SPrpjZft0
女「女と煙草は合わないという事か?」

男「逆に合いすぎるんじゃない?」

女「ん?」

男「ふわふわして、そこにいるのを主張するのに、思うように寄って来てはくれない」

女「これほど近いのに」

男「なんでだろ?」

女「さて、なんでだろうな」

674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 22:56:15.32 ID:SPrpjZft0
男「あ、虹だ」

女「ああ、そうだな」

男「け、煙が」

女「ああ、そうだな」

男「……」

女「……」

男「立ち位置交換しない?」

女「絶対嫌だ」

691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 23:33:12.98 ID:SPrpjZft0
女「蛍族なぞ、誰が考えたのか知らないが、良い言い回しだな」

男「イメージ的には、奥さんが嫌いでベランダに追いやられた悲しいお父さんて感じがするけどな」

女「まぁ、世の中の風潮で言えば、蛍くらいに珍しいものであれば、存在は認められるのかもな」

男「蛍の光って、爽やかで、でもあったかそうだよね」

女「……ふぅ〜〜……、まぁ、その温かさがホントに相手に届けば幸せなのだろうな」

男「無くさせたくはないもんね」

女「……ありがとう」

男「え?」

女「いや、なんとなく言いたくなった。今日の月が私を酔わせたかな」

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 23:45:53.00 ID:SPrpjZft0
男「ほら、塩辛いものばっかりじゃなくて、野菜もとらなきゃ」

女「好きなものを我慢して長生きするよりは、好きなものを堪能して生を謳歌したい」

男「はいはい。んじゃ、これも食べようね」

女「……ぬぬぬ」

男「食事後は紅茶入れて、一服に付き合ってあげるからさ」

女「よし、食べよう。約束は絶対だぞ」

男「はいはい」

701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 23:53:44.85 ID:SPrpjZft0
女「男が家に来てから、随分消臭剤が増えたな」

男「家に帰ってきた途端、吸ってもいないのに煙草の匂いするのはイヤ」

女「その割には、煙草を吸ってるときに君は機嫌がいいじゃないか」

男「あ、ゎ、……そ、それは」

女「まぁ、それでも饐えた臭いは私も苦手だからな。そこは感謝している」

男「ぅ、うん……」

 

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