701-800

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 00:24:28.84 ID:MtcfTksE0
男「なあ、このライター側面になんか着いてる」

女「コレはライターじゃない、マッチだ」

男「ん?」

女「オイルマッチといってね。何度も使えるマッチだよ」

男「へー。また珍しい物を」

女「風があろうと着いてくれるからな。ジッポオイルで使えるし、一応持っているんだ」

男「着けてよ」

女「普通のマッチと一緒だよ。ちょっと力が入るが、側面のフリントに強く押し付けて擦るだけだ」

男「おお、金属製のマッチみたいだな」

女「入手はネットがある今では簡単だが、店頭では珍しい。見つけた時に衝動買いしてしまった」

男「お前の趣味って、珍しいものを好むよな」

女「ああ最近、この上なくその気質に困っているところだ」

男「ターボライターってさ、火力強いけど火が見えにくくないか?」

女「ああ、だからこんなものもあるんだ」

男「青いな。そう、最近これよく見る」

女「タングステンを使うと白熱して色が付くんだよ。他にもプラチナの触媒効果で風で消えにくいライターもある」

男「なるほど」

女「この通り、軽く振って消してもすぐに着く。希少金属だから高いけれどね」

男「技術の進歩って奴か」

女「そういうことだ」

男「タングステンか……人の心も目でわかるようになったらいいのに」

女「それは私もよく思う」

男「……はぁ」

女「……はぁ」

736 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 01:19:24.68 ID:MtcfTksE0
男「スピリタスを手にとってなにやってるかと思えば、給油か」

女「ああ、やはり専用のオイルじゃないからね。早く切れる」

男「漏斗まで出してやるようなことか?」

女「五月蝿いな。好みだよ」

男「はいはい」

女「ジッポも入れておくか……そうだ、面白いことをしてやろう」

男「ん?」

女「こうやって、ジッポの火が一度手に移り……こう指を鳴らすと火がライターに戻る」

男「おお」

女「指にオイル垂らしただけだがね?」

男「火傷するぞ?」

女「もうしている」

男「おい、見せろ!」

女「人の指をしゃぶるな。……いや、意外と心地いいか」

746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 01:49:44.19 ID:MtcfTksE0
男「百物語をしよう」

女「蝋燭はどうするんだ?」

男「ジッポ吹き消そう」

女「蝋燭ですらないな。まあいい、私からだ」

カチッボッ

女「私が体験した話。ちょっと前に葉巻を吸っている時な。手いたずらしてたんだ。シガーカッターで」

男「あのミニサイズギロチンか」

女「指の先を切った」

男「いてええええええ!」

女「ほら、まだ後残っている」

男「うわ、痛そう……次は俺か。小学校の頃ベランダで遊んでいてな。手すりの上を走ったんだ。そして落ちた」

女「うわっ」

男「しかも、下にはアサガオの成長を補助する細い棒があってな。串刺し」

女「……確かに怖いけど、なんで私達傷自慢大会しているんだろうな」

男「ロマンのかけらもないな」

749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 02:11:14.12 ID:MtcfTksE0
男「お前が煙草を吸って居ないところを久しぶりにみた」

女「私だって常に煙草を咥えているわけではないよ」

男「いや、かれこれ一時間以上吸ってないじゃないか。どうした? 生理?」

女「なぜ生理が出るかは後で問い詰めるとして、親知らずを抜歯したんだ」

男「ああ、麻酔か。煙草止められるんだよな」

女「痛い思いまでして、口の中にメスを入れられ、歯を一本奪われた上に、金と快楽を奪われた」

男「ひどいように聞こえるけど、治療だぞそれ」

女「まったく、嫌になる。嫌になるのに煙草を吸えない。最悪だ」

男「さいですか」

女「ああ、気分が悪いからもうお前帰れ。私は寝る」

男「はいはい、大人しく帰りますよ」

 

女「……今最高に機嫌が悪いが、居残られても我慢することに機嫌が悪くなるのだろうな、私は」

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 02:39:21.75 ID:MtcfTksE0
男「なあ、お前髪長いよな?」

女「うん? ああ、そうだね」

男「煙草で焦がしたりしないのか?」

女「最近は流石にないが、吸い始めた頃はたまにな」

男「ふーん、ポリシーとかあるのか?」

女「ああ、昔とある人に髪が綺麗だと褒められてね」

男「なるほど、ほら焦がしそうだぞ」

女「ん、ああ。そうだ結ってくれないか? 邪魔にならないように」

男「自分で結べよ。まったく」

女「そういいながらも櫛とゴムを手に取るキミは好きだよ」

男「はいはい。それ以外の部分も好きになってくださいね」

女「……はぁ」

前者の方が美味しいことは確かだろうが、そういったこだわりには苦労が付きまとうだけさ

763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 02:51:43.37 ID:MtcfTksE0
>>754
後日談

男「(……あれ? どっかであいつの髪褒めたような)」

女「(……耳撫でられた耳撫でられた耳撫でられた耳撫でられた)」

772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 03:21:13.86 ID:MtcfTksE0
男「お前って煙草を他人に勧めないよな」

女「ああ、そうだな。自分のようなニコチンの奴隷道を歩んで欲しくないのでね」

男「喜んで歩んでいるくせに」

女「ああ、一度だけあったな」

男「ほう」

女「煙草を吸いたがっていた友人が居てな。20の誕生日にガラムをプレゼントしたんだ」

男「うわぁ……嫌いになるだろそれ」

女「それが目的さ。それにそいつには彼氏が居たからな」

男「?」

女「だから私のような道を歩んで欲しくないんだよ」

775 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 03:26:32.72 ID:MtcfTksE0
>>772
後日談

男「あのさ」

女「なんだい?」

男「すごく……聞きにくいことなんだけどさ」

女「……!」

男「その……お前って……」

女「……わ、私って?」ゴクリ

男「………煙草が原因で病気になってたりする?」

女「はぁ……キミに僅かでも期待した方が愚かだった」

776 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 03:35:00.45 ID:MtcfTksE0
男「質問がある」

女「なんだい? 言ってみたまえ」

男「そこにある服、胸のところに焼け跡があるんだけど……」

女「昔、煙草で焼いてしまったんだ」

男「貫通してるよ?」

女「それなりに強く押し付けたんだよ」

男「……ちなみに、着ている時ですか?」

女「まさか、干している時に転びかけただけさ」

男「よかった」

女「流石に、自分の胸に煙草の火を押し付けるようなことはしないよ」

男「位置的にちょうど乳首らへんだから、もしかして乳首ないのかと。あるいは特殊なプレイかと」

女「キミの乳首を消してやろうか?」

780 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 03:48:12.15 ID:MtcfTksE0
男「夜道を並んで歩くのも久しぶりだな」

女「ん? そうか?」

男「ああ、更にお前が煙草を吸っていないのも久しぶりだ」

女「ああ、そういう時もある」

男「……ん、蛍」

女「珍しいな。今の時期、そろそろ寿命の頃合なのに……」

男「いやいや、結構いるよ。そことか……綺麗だな」

女「………」カチッカチッボッ

男「おお、もう一匹居た。なんだ結構いるじゃん」

女「もっと綺麗な蛍を知っているぞ?」

男「ん? ああ、平家蛍より源氏蛍の方が大きいよな」

女「……はぁ」

男「どうした?」

女「蛍のはかなさを少し理解しただけだ」

784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 03:59:23.31 ID:MtcfTksE0
男「なあ、最近気が付いたんだが、お前ソフトパッケージは開ける方向を決めてるのな」

女「というか、一応ルールがある」

男「ん?」

女「ちょうど今からロングピースを開けるから見ていろ」

上から見た図
        ↓封冠部
┏━━┯━━┯━━┓
┃\   .| | | | | |.   /┃
┃/\_.| | | | | |._/\┃
┗━━┷━━┷━━┛
    ↑銀紙b   ↑銀紙a

女「封冠部を左親指で押さえ、右親指の爪で銀紙aを引っ掛けて開けるんだ」

男「なんで右側なんだ?」

女「b側は人を切るという意味があるんだ」

男「迷信の類か」

女「後は葉巻をもみ消すと苛立っているという意思表示になる」

男「おまえさ。シケモクする気のない葉巻、もみ消すよな」

女「……クセだ」

790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 04:21:52.32 ID:MtcfTksE0
男「このまえ、チャコールフィルターって見たんだが、あれはなんだ?」

女「活性炭を含んだフィルターだ。活性炭がニコチンや不純物を吸収するため、癖や個性が弱くなる」

男「へー、普通のフィルターは?」

女「プレーンフィルターと呼ぶ。日本の主流はチャコールフィルターだな。千切ればすぐわかる」

男「あとなんだっけ? スペック?」

女「あれは表面になるとのような形をつけてな。CVDフィルターと呼ばれている。外気を取り込み、煙を冷やすんだ」

男「他にもあるのか?」

女「リセスドフィルターといって、巻紙を延長したようなものもある。これも煙を冷やすためだ」

男「ちなみに現在吸っているピースは何フィルターで?」

女「プレーン。タバコは個性があってこそだろう?」

男「なるほど。まあ、個性がないのは味気ないな」

女「べた惚れの個性に困ってもいるがな」

796 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 04:43:38.90 ID:MtcfTksE0
女「ショートピースが切れた」

男「コンビニ行くか?」

女「いや、どうせ缶は置いていないだろう。缶で吸いたい。この時間では煙草屋も閉まっているだろうな」

男「こだわるな」

女「風味が違うんだよ。それに足を運ぶくらいなら、ロングピースが手元にある」

男「千切るのか?」

女「ショートの代わりだ。こうすれば両切りになる。それでもショートの重さには足りないけどね」

男「フィルターなければ、そりゃ重くなるだろう」

女「癖や個性も強く出る。ふむ、旨い」

男「さいですか」

女「現実も千切るだけで、ぼやけた物がはっきりとなればいいのだがね」

 

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